作者自らが演ずるカッコワルイ主人公が、色々なものを引きずりながら“男の花道”を目指すシリーズの第1部と第2部。第1部は主人公が何の意味もなく男たちから逃げ回り、ひたすら過激な行為に走るのを描写したもの。第2部はそれと全く関係なく、ある地方の町を舞台に、家を出て東京で一旗揚げたいと思っている主人公の悶々とした日々を描いている。第1部の部の狂暴なカメラワークから一転して、静謐さと重厚さを兼ね備えながら巧みに動き回るカメラが捉えた主人公とその家族の表情のリアルさ。そしてラスト、主人公がライン引きを持ちながら街中を走り回るシーンは、家と親とを断ち切れない作者の心の叫びが見事に伝わり、胸を打つ。